姿勢がよくなる呼吸法

深呼吸をすると姿勢が良くなるというお話は聞いたことがありますか?

 

姿勢の悪い方は基本的には呼吸が浅い方ばかりです。酸素が不足してくると身体は生命維持に欠かせないところへ優先して酸素を供給するようになります。

例えば脳、心臓などが酸欠を起こせば人間は数分ももたずに死んでしまいます。

 

呼吸の浅い方は生命維持に必要な分を差し引いた、残りカスのような酸素量でその他の筋肉などを動かし生活しないといけません。これでは筋肉の出力不足を招き姿勢が維持できなくなるのも仕方ないことです。

 

呼吸法についてはたくさん種類があるので自分に合うものを見つけて頂くのが一番ですが、昔小学校の音楽の授業などで習った「お腹から声を出す!」でおなじみの腹式呼吸が基本で簡単かなと考えています。

普段多くの人がやってる胸が膨らむものは胸式呼吸と言います。

 

【左・腹式呼吸 / 右・胸式呼吸】

 


 

肋骨の下部には横隔膜という肺を広げる筋肉がついています。これを下方向に押し下げるイメージで呼吸をすると、実際に横隔膜は下がり、内臓を押し出しおなかが大きく膨らみます。この時肺は下方向にも大きく膨らんで十分に空気を取り入れることができるようになります。

 

練習するときはおなかに手を当てて吸気で膨らんで呼気でしぼむのをしっかり確認できるようにするといいと思います。慣れてくると無意識に腹式呼吸ができるようになります。これだけでも姿勢はかなり良くなるはずです。

 

 

この腹式呼吸ができる前提ではありますが、これを応用した姿勢を良くするための呼吸法応用編を二つ紹介します。

 

「全力の深呼吸(胸式・腹式同時)」

 

胸が膨らむ呼吸法を胸式呼吸とお腹が膨らむ腹式呼吸を同時に行い、肺を最大限まで膨らませる方法です。

 

1.立った姿勢で肺の空気を絞るように全て吐き切ります

 

2.横隔膜が下がるイメージに加えて鎖骨・肋骨も押し広げられて、えずくギリギリまで息を吸います

 

3.3秒ほど息を止めて再び1のように息を吐き切ります

 

吸って吐いてを3回ほどやるとおそらくクラクラして酸欠感が出ると思います。

身体は酸欠を感じると取り込んだ酸素を急激に全身に送り始めます。

 

お客様に協力頂いた過去の実験ではほとんどの方の握力が直後に1~2割程度向上しました。

もちろん姿勢を維持する抗重力筋群と呼ばれる筋肉も強化されますので当然姿勢は良くなります。

 

ただしクラクラがひどくて倒れると危ないので近くに何かつかまれるものがあるといいと思います。

 

 

「腹腔内圧調整呼吸」

 

肋骨と骨盤の間にある内臓を格納している膜を腹膜といいます。

日本人の多くは骨盤が後ろに傾いた猫背タイプなのですが、この腹膜の内圧が減少していることも原因のひとつと考えられます。

 

おなかに風船が入っているとイメージして頂ければ、その風船がしぼんだら背骨が前に倒れて猫背になるのがわかるかと思います。適度に膨らんでいれば、背骨を押し戻し、骨盤の前側を圧迫して前傾させる効果も期待できます。

 

おなかを押してみて、適度なはね返りが無くふにゃふにゃとした感触の方は内圧が下がっている場合が多いです。

 

では腹腔内圧を調整するための呼吸法です。

 

1.正座、または良い姿勢で椅子に座ります。座ったらおなかまわりの固さや張りを確認してください

 

2.両手を下腹部に当てます

 

3.鼻から息を吸いながら当てた手を押し返すようにお腹を膨らませていきます(腹式呼吸)

 

4.十分息を吸いきったら息を止めて下腹部に五秒間力を入れます

 (慣れてきたら肛門をしめる動作を入れてもいいです)

 

5.お腹の力を抜かずに膨らませたまま今度は息を吐ききります

 

6.お腹の力を抜いて普通の深呼吸をします

 

これを5回やって、お腹回りが1で確認したときより張って固くなっていたら腹圧が上昇して腹膜による風船ができています。立った時に腰に反り感が出ていれば骨盤が前傾した証拠です。

 

以上、姿勢がよくなる呼吸法でしたが無理のないようにお試しください。